緑内障とは
何らかの原因で視神経が障害され視野(見える範囲)が狭くなる病気で、眼圧の上昇がその病因の一つです。
眼圧とは?
くろめ(角膜)と茶目(虹彩)の間に前房という部屋があり、そこに房水という水が満たされています。ここには栄養成分などが含まれ一定の流れを持ちます。目の丸い形は、この房水の圧力で保たれており、これを眼圧と呼びます。(ほぼ10~21/mmHgの間)
- 正常な目
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- 房水の流れがスムーズ
- 緑内障の目
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- 房水が溜まり、内部の眼圧が高くなる
緑内障の症状
緑内障の初期~中期は自分で気づくことは殆ど無く、中期~後期にかけて視野が欠け始め、後期には中心部以外見えづらくなった感じがします。
また急性の緑内障は例外で、眼の痛み、頭痛、吐き気などの激しい症状を引きおこします。
視野の欠け方イメージ図
自覚症状のほとんどない緑内障では早期発見、早期治療が重要です。一度障害された視神経はもとには戻りません。病気が進行するのを食い止めることが、治療の目標になります。
緑内障の種類
開放隅角緑内障
正房水の出口(繊維柱帯)が詰まり、眼圧が上昇します。ゆっくりと病気が進行していく慢性の病気です。
閉塞隅角緑内障
隅角が狭くなり、ふさがって房水の流れが妨げられ、眼圧が上昇します。急性型と慢性型があり、急性型では眼の痛み、頭痛、吐き気などの激しい症状をおこします。
正常眼圧緑内障
眼圧が正常範囲(10~21mmHg)にも関わらず緑内障になる人がいます。これを正常眼圧緑内障と呼び、開放隅角緑内障に分類されます。近年行われた全国的な調査の結果から、緑内障の約6割が正常眼圧緑内障であり、また欧米にくらべて日本人に多いらしいことがわかりました。
先天緑内障
生まれつき隅角が未発達であることからおこる緑内障です。
続発緑内障
外傷、角膜の病気、網膜剥離、眼の炎症など他の眼の病気による眼圧上昇や、ステロイド剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障です。
必要な検査
1.細隙灯検査
- 目の表面~水晶体表面まで細い巾の電気の光をあて、角膜(くろめ)前房の深さ、隅角の程度、何か異常がないか調べます。
2.眼圧検査
- 直接、目の表面に測定器具をあてて測定する方法と目の表面に空気をあてて測定する方法があります。緑内障発見のための重要な検査です。
3.眼底検査
- 視神経の状態をみるために、視神経乳頭部を観察します。視神経が障害されている場合、陥凹(へこみ)の形が正常に比べて変形し大きくなります。緑内障発見のための必須の検査です。
- 正常な視神経
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- ・ピンク色の丸い部分が視神経です。
- ・中心の白い部分は1/3以下で境界がはっきりしません。
- 緑内障の視神経
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- ・中心の白い部分が2/3以上で境界がはっきりしています。
- ・白い部分は視神経が萎縮し機能しなくなった部分です。
4.視野検査
- 視野の欠損(見えない範囲)の存在の有無や大きさから緑内障の進行の具合を判定します。実際には両目でカバーしたり、眼を動かしたりするために気づかない事が多い。
治療法
進行具合によって違ってきますが、治療の基本は高くなった眼圧を下げることにあります。
慢性の緑内障の場合は、点眼薬で眼圧を下げる治療を行います。急性の場合は一刻も早く眼圧を下げないと失明の危険性もありますので、レーザー治療や手術による治療を行います。
また、慢性の緑内障でも点眼薬の効果が薄く眼圧が下がらない場合は、レーザー治療や手術をおこなう場合があります。
1.眼ぐすり、飲みぐすり、点滴などの薬物療法
- まず一種類の点眼薬で様子をみます。経過状態によって薬を変更・追加します。
- 目標とする眼圧まで下がらない場合は飲み薬を併用することもあります。
2.レーザー治療
レーザーを虹彩にあてて穴を開けたり、線維柱帯にあてて房水の流出を促進します。比較的安全で痛みもなく、入院の必要もありません。
3.手術療法
一度、障害された視神経は完全に回復することはないので、視機能も回復することはありません。緑内障における手術は眼圧を下げて、これ以上の視野障害の進行をとめることが目的となります。
レーザー治療・手術後も、担当医が必要と判断した場合は、点眼薬を使い定期的に検査をお願いしています。
基本的には生涯にわたる治療が必要
薬やレーザー治療で眼圧がある程度下がったとしても、それだけで治療が成功しているとはいえません。定期的に視野検査を受け、常に視野異常が進行していないことを確認して、初めて治療が上手くいっているということになります。
また眼圧は治療により一旦下がっても、治療を中断すれば、また高くなってしまいます。その意味でこの病気は、一生涯にわたる管理が必要な病気といえます。
緑内障を完全に治すことはできませんが、治療によって眼圧を正常範囲に維持できれば、視力の悪化を防ぐことができます。